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腱鞘炎も頭痛も体の引っ張り合いで起きている

私の大切なお客様で、Kさんという方がいらっしゃいます。

 

彼女は私がエステティシャンだった頃からの長いお客様で、3人のお子様がいるゴッドマザーにして、とても女子力の高い可愛らしい方です。

 

Kさんはお仕事が繁忙期の時に、右の前腕が腱鞘炎で痛く、辛くなってしまったということで全身調整を受けにいらして下さいました。

 

確かにカウンセリング時に腕を拝見すると、手首から肘にかけての筋肉がぱんぱんに固く張っています。

 

利き手がこの状態でのお仕事や子育ては、かなり辛かっただろうと思います。

 

また、よく出る症状として重い偏頭痛があり、市販のロキソニンでは効かなくなってしまった為、お医者様に処方された強い鎮痛剤を飲むとのこと。

 

その日の施術は右手の親指から肘、肩の調整と、左側は後頭部のこわばりと薬指をほどき終了。

 

施術後は肘の筋肉が柔らかくなり、1回で腱鞘炎の痛みもとれてしまいました。

 

Kさんは「施術は優しく触ってるだけなのに、なんで!?腕が全然痛くない!」と驚き喜んで下さったので、それはとても良かったのですが、実は私はあまり納得していませんでした。理由は後述します。

 

 

2週間ほど経ってから、Kさんはまたご来店下さり

 

「あれから、腕が全然痛くないんですよ~!痛くなるかも、っていう雰囲気が出ることもあるんですけど、前回、狩野さんが触ってくれた右手親指を触ると平気になります。」

という嬉しいご報告をくださいました。

 

また

 

「あれから生理になって、生理期間中は毎日のように頭痛薬を飲んでいたのが、今回は1回しか飲んでないんです。」

とご報告下さいました。

 

さて、Kさんの2回目の施術に入ります。

 

前回、右手は親指からの調整がメインでした。今回はどこから施術しようかと体の流れを読むと、出てきたのは右後頭部の強いこわばりです。

 

「やっぱり!」

 

と私は心の中で深く頷きました。

 

実は、腱鞘炎は手指だけが原因で起きるものではないのです

 

指や手首の使い過ぎでなると思われがちな腱鞘炎ですが、指を酷使するピアニストやパソコンのハードユーザーの全員が腱鞘炎になる訳では無いですよね。

 

つまり、腱鞘炎は指や手首の酷使だけでは無い別の要素が隠されているということです。

 

この「別の要素」というのはその人その人によって違うのですが、Kさんの場合は後頭部にある強いこわばりです。

 

もともと、後頭部にこわばりがあると、頭に向かって肩や腕、手が引っ張られる力が働きます。その力というのは、ご本人も分からないくらいの微々たるものなのですが、確かに存在するものです。

 

そして、手や指を使う時は、いつもその引っ張られる力に抵抗しながら手を動かすことになります。

 

そうすると、普段は大丈夫でも、仕事の繁忙期や手指を頻繁に使っている時はずっと引っ張られながら動かし続けていることになるので、腱鞘炎になりやすいのです。

 

因みにこの抵抗しながら動かした結果が肩にくれば重い肩こりになりますし、指にくれば「ばね指」になります。

 

Kさんの場合はもともと頭部にこわばりがあり、それを親指がひっぱることによって、間にはさまれている前腕の痛みを引き起こしたのだと考えられます。

 

育児と仕事で酷使した親指も相当なものだったのでしょうが(だから親指をほどいて腱鞘炎の痛み自体はとれてしまった)、前提として後頭部に向かって引っ張られている力があったのだと思います。

 

 

また、この腱鞘炎についての記述を読んで、勘の良い読者の方はもうお分かりになってしまったかもしれませんが、偏頭痛も頭だけの問題ではありません。

 

偏頭痛でよくあるパターンは過去の私がそうであったように、足の古傷が原因のことも多いのですが、頭にもともとこわばりがあって、それをどこかから引っ張られると重い偏頭痛として出ることがよくあります。

 

Kさんもこの典型例で、Kさんは左右の後頭部の対称的なところに強いこわばりがあります。

もともと頭部に強いこわばりがあって、何かの要因(生理で骨盤が開く、等)でそれが引っ張られる時に強い頭痛として出るのです。

 

目に見えない頭部のこわばりですが、どうしてそうなったのか考えられる原因は色々あります。

 

例えば、骨折はもちろんですが転倒時の打撲(小さい時に階段を転げ落ちて頭を打った、ブランコにのっていて頭から落ちた等)、また、難産が原因であることもあります。

 

実際、Kさんは打撲など頭の怪我をしたことはなく、考えられる要因としてはご自身が産まれる際の難産だそうです。(羊水が先に出てしまって、生まれるのに時間がかかった。頭がかなり伸び伸びの状態で出てきたと聞いているそうです。)

 

目に見えないものなので証明しようがないのですが、Kさんの左右対称の後頭部のこわばりは、出産時に特に圧迫がかかったところなのではないかと推察します。

 

だからこそ、1回目で左側の頭部のこわばりをほどいたことによって、生理時の頭痛が起きる頻度も減ったのです。

 

これからも頭部をほどく毎に、偏頭痛が軽減されていくことでしょう。

 

 

腱鞘炎は痛み止めの湿布、頭痛は鎮痛剤でなんとか凌ぐことが多い体の不調です。

 

病院に行っても原因が分からない(特に頭痛)と言われるものは、理由が1人1人違うからです。

 

腱鞘炎も頭痛も体の引っ張り合いで起きていて、引っ張っている場所はその人その人によって違います。

 

また、引っ張り合いで起こっている結果の患部だけ見ても意味はなく、全体のバランスを見て、引っ張っている犯人達をほどかなければ根本解決には至りません。

 

Cosmosでは必ず、全身のバランスを見て、なぜその不調が起きたのかを理解して頂ける施術となっています。

鎮痛剤で抑えられるから、と諦めてしまっている頭痛や、湿布で騙し騙し我慢している繰り返す痛みは、ぜひご相談下さい。