· 

体は覚えている

9月中旬に、久しぶりに高熱を出しました。

40度を超える熱。体中のあらゆる所が痛くて寝ていられず、ゴロゴロ寝返りばかりしていました。

発熱数日前に、愉和法の門下生のお友達と整体の練習をし合ったのが、良い体の勢いづけになったようです。

季節の変わり目に熱が出せるのは健康な証拠と思いつつ、ゆっくり休みました。

 

そして、その整体の練習時にとても興味深いお話を聞きました。

愉和法門下生の1人でKさんという方がいらっしゃるのですが、彼女が自分自身の体を愉和法やそのほかの技法を使ってほどいている時のお話です。

ほどいていく毎に、身体に不調をきたす原因になっている体のこわばりが出てくるのですが、特に「全身の不調の大本になっている」と感じられる古傷が出てきました。

それは舌の右側に出てきた痛みだったそうです。

 

Kさんは生後2日で舌小帯を切る手術をしたのですが、その手術を担当したのがKさんのおじいさまの知り合いである剛腕の軍医さん。

年長者に逆らえない時代だったこともありますが、その軍医さんは「ちょっと切るだけだから」と言うことで、赤ちゃんだったKさんへ麻酔をすることなく、おくるみでぐるぐる拘束しての手術だったそうです。

(想像するだけでも痛いし、怖いです…。現在なら考えられません。)

 

当然、Kさんはその時のことは鮮明に覚えていません。しかし、赤ちゃんだった当時は相当の恐怖だったのでしょう、その術後からKさんの鎖骨と肋骨は左右不均等な深さの凸凹になってしまい、Kさんのお母様もずっと心配されていたとのことでした。

その後、Kさんは幼少時代は、大人の男性に必要以上の恐怖感をおぼえたり、大人になってからも、拘束されて声が出ない夢を見てうなされたりしていたそうです。

 

Kさんは自分で整体をするようになってから、古傷の痛みやつまりをほどいて高熱が出た後、鎖骨と肋骨の不均衡も収まり、拘束される悪夢を見なくなりました。

また、この舌の古傷をほどいた時に、そのゆるみ方で、手術時に身体がどのように拘束されていたのか、また、顎を強い力で押さえつけられていた、ということを強く感じられたそうです。

 

本人にはっきりした記憶が無くても、身体は受けた痛みや衝撃を覚えているのだということがよく分かる興味深いエピソードです。

 

鋭い痛みや恐怖感をおぼえた時に筋肉は強く収縮するのですが、その緊張がゆるみ切らず、体のある部分に不調をもたらしたり、身体だけではなく心とリンクしてしまえばトラウマになるのだ、ということが理解できます。

また、逆に考えれば、今回のKさんのように、その緊張を上手く見つけて解くことで、体の不調や悪夢などのトラウマ症状から解放されることもあるのです。

愉和法も、まさしく、その整体手法です。

 

 

この話を聞いた数週間後、私が夫の整体をしていた時に、彼の頬骨に小さなつまりを発見しました。

 

「なんで、こんな所につまりが?」

 

2人でしばらく考えた後、

「あ!そういえば息子の投げたアンパンマン号のおもちゃ(小さいけど車輪つきの固くて重いやつ)が、ここにぶつかった!」

「やっぱり体は正確に覚えているんだね~」

と体の記憶の正確さに遭遇する出来事がありました。

 

頬骨の小さなつまりをほどき、夫のアンパンマン号へのトラウマは未然に防げたようです。